S6最終93位 2076 マスカイーユイ

以下の構築を使用してS6最終93位だった。

コンセプトは「立ち回りの一貫」。詳しくは後述するが、1つの対面を例に挙げてもテラス択や追加効果等で全てに対応することは不可能だと考えたので、ある程度の確率は割り切って確率的に強いと考えた行動を一貫させた。一方通行に思われがちな対面構築でもタイプで無理やりサイクルを回せるようにしたため立ち回りの選択肢が広い。

高速高火力でありながらメイン技の追加効果が優秀なイーユイとハバタクカミを軸として採用することで「普通に対戦しているだけなのに運で余裕勝ち」という展開も多く生まれた。

最終日が平日だったので深夜の3時くらいに最終2桁ラインには残れたと判断して撤退。

レンタルやマスカーニャの動かし方等

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・構築経緯

「立ち回りの一貫」について

少し長くなってしまうが本構築に置いて最重要事項であるため深堀りする。レギュレーションC環境に置いて一番大切なことは「相手の初手パオジアンとディンルーをどうするか」であると考えた。この2匹は数値の高さから初手に投げられることが多く、甘えたポケモンを初手に出すと一気に試合の流れを持っていかれる可能性がある。

結論から言うと、各種テラスタルやアイテムの全てに対応することは不可能であると考えたが、その中で一番割り切れる要素を見つけることが出来た。それは「氷柱落としによる怯み」である。今まで最優先で拒絶していた要素ではあったが、氷柱落としの命中率や怯みを引く確率、そもそも氷柱落としを採用していない個体まで考えると妥協をするならここなのではないかと考えて方針を固めた。鋼テラスタルのイダイナキバやディンルーを使って怯まされてテラスを確認後に交代されることも、飛行テラスタルカイリューが怯まされて対面負けをすることも、本質的には同じことであると捉えた。

この要素を妥協した時に一番初手ポケモンとして安定するのはマスカーニャであった。マスカーニャであればディンルーに強いのは勿論、パオジアンを深緑発動後のトリックフラワーで倒すことが出来て、拘り鉢巻き持ちは素早さが遅いことや拘りスカーフ蜻蛉返りからのロトム引きを嫌って氷の礫を撃ってくることも多い。怯みさえ割り切ってしまえばかなりの範囲を対応出来るため、相手依存のテラス択や交代をするよりも何倍も安定するように思えた。

この動きでは2ターン目に気合いの襷パオジアンの先制技でマスカーニャが縛られているため、次のターンの引き先として拘りスカーフイーユイを採用した。この2匹が本構築の始点であり、対面構築ミラーで立ち回りを一貫させる土台となる。

対面構築の弱点として初手ポケモンが撃ち負けて2vs3からスタートすると展開を捲ることが難しいが、イーユイをゴーストテラス、ハバタクカミをノーマルテラスにすることで撃たれやすい技に対して1ターンを生み出し、相手視点ではケアしにくい勝ち筋を残した。

 

・個別解説

採用順に解説し、努力値調整意図については優先度が高い順に記載する。

 

151-178(252+)-93(20)-x-90-173(236)@気合いの襷

岩テラスタル

トリックフラワー 叩き落とす 不意打ち テラバースト

A

深緑発動トリックフラワーで155-101パオジアンを確定1発

トリックフラワー+深緑トリックフラワーで155-91マスカーニャを約90%で倒す

叩き落とす+イーユイの噴煙がB112D106セグレイブに205~242

叩き落とす+岩テラバーストがマルチスケイルB115カイリューに182~219

S

最速パーモット、準速トドロクツキ抜き

ミラーをトリックフラワーで殴り合った際に抜かれて深緑を発動させるため

 

構築の始点であり要。気合いの襷と深緑の範囲により環境に居るほとんどのポケモンと撃ち合える。前述したようにパオジアンに対して撃ちあえる貴重なポケモンであり、拘りスカーフをケアして氷の礫を撃たれることや、命中不安を嫌ってかテラバーストを撃ってくるプレイヤーもいたため、机上論で考えていた以上の対面勝率を叩き出せていたと感じる。

元々この枠はキノガッサを採用し、草テラスの強要やサーフゴーの選出を誘導し後述のイーユイを通しやすくするプランを取っていたのだが、ゴーストテラス択や不快交換に悩まされて安定しないと考えマスカーニャに変更した。叩き落とすで相手の突撃チョッキを落として裏の特殊ポケモンを活かせることも噛み合いが良い。

マスカーニャは草+悪の範囲である程度完結しており、こちらのディンルーを初手で崩しに来るイーユイや、後投げされやすいカイリューを破壊する岩テラバーストを採用した。岩タイプであればカイリューがマスカーニャに撃ってくる神速や飛行テラバーストを半減出来るため、マスカーニャステルスロックや砂ダメージで削れた後でも勝ち筋を残せる点が強力であった。(おろしぽんずさん案)

何度か初手でミラーをすることがあり、お互いの打点がトリックフラワーしかない場合の撃ち合いで下から深緑発動+トリックフラワーで対面勝ち出来るように素早さを下げたが、その後1度もマッチングしなかったので机上の空論の可能性はある。

131(4)-76-100-205(252+)-140-152(252)@拘りスカーフ

ゴーストテラスタル

オーバーヒート 悪の波動 噴煙 バークアウト

C

バークアウトが131-81テツノツツミに105~124

身代わり後に貫通して倒せるため、マスカーニャの不意打ちがアンコール択にならない(詳しくは後述)

S

ミラーが多すぎるため準速

上から悪の波動を撃てる優位性を高く評価

 

パルデア最強のスイーパー。マスカーニャと攻めの相性が良いだけでなく、中途半端な攻撃に対してはタイプ受けサイクルが出来る点も評価が高い。具体的には初手のマスカーニャでパオジアンを襷まで削った際、次のターンにイーユイに交代をすることで氷の礫や不意打ちを透かしながら次のターンに上から行動することが出来る。

炎技が噴煙なのは主に襷パオジアンへの対面勝率を意識している。チョッキディンルーが投げられることも多く、そのタイミングで火傷を引ければ試合を終わらせられる程のパワーがある。

バークアウトは単体では使わないが並びとして非常に強力である。具体的には対面構築相手にマスカーニャ+イーユイ+ハバタクカミと選出し、マスカーニャが相手の初手を倒し2匹目にブーストエナジー持ちのテツノツツミが来ることが多いのだが、その際にマスカーニャで殴るかハバタクカミに交代するかの択になることが多かった。しかしイーユイにバークアウトを採用することで不意打ちを身代わりで透かされてもイーユイのテラスタル+バークアウトで簡単にケアが出来る。不意打ちが通った場合はハバタクカミのムーンフォース圏内でテラスタルを温存出来るため、立ち回りとして上振れを狙うことが出来た。

テラスタイプは炎が半減で強力な先制技を持つカイリューへの対策としてゴーストタイプ。「絶対に動ける1ターン」の価値は同系統のポケモンの中でもかなり高いと感じた。

このポケモンも命中安定技で遂行が出来る上に追加効果が強力なため快適なポケモン対戦を行えた。

131(4)-54-101(204)175(156)-156(4)-190(140+)@ブーストエナジー

ムーンフォース シャドーボール 甘える 痛み分け

ノーマルテラスタル

C

ムーンフォースで131-155ハバタクカミを約76%で2発

S

準速テツノツツミ+2

最速以外のミラーに負けないライン

HB

余り

A204カイリューの拘り鉢巻き地震を約81%耐え

 

かなり自信のある配分。

ブーストエナジー持ちのハバタクカミはミラーが課題で、当初は最速のBC振り分けのようなものを使っていたのだが、耐久に割かないといけない関係上火力が低く「ミラーで上を取っているのに勝てない」が多発してしまった。それに加え最速個体の数やその撃ち合いに勝たなければいけない展開は少ないと判断してBCベースの個体に絶対に勝てるようにした。

テツノツツミと撃ち合うことも多く相手が最速であった場合はこちらの努力値+性格補正が完全に無駄になってしまうことが気になったため、準速の耐久振りテツノツツミを抜けるラインまで素早さを抑えることで「活きる努力値振り」をした。先月の上位記事のブーストエナジー持ちハバタクカミの素早さラインは速くても185付近であったため耐久振りには抜かれないと判断し、実際に抜かれることはなかった。

素早さの努力値を節約したことによって火力に回す余裕が生まれムーンフォース2発でハバタクカミを倒せるようになった。76%でしか倒せないと見ると微妙に思えるかもしれないが、実際はマスカーニャの不意打ちで削っていたり、上から行動することでムーンフォースのCダウンを押し付ける等の要素が含まれるためかなり信頼出来る値である。

余った努力値を物理耐久に回すことで流行っていた鉢巻きカイリューへの後出しもしやすく、イーユイが不利対面を取った際の引き先になることも出来た。特に後発の突撃チョッキディンルーはイーユイを使う上で大きな課題であるが、ハバタクカミに交代するタイミングでは絶対にヘビーボンバーを撃たれないので甘えるや痛み分けから切り返すことが出来た。イーユイとハバタクカミは同じ特殊ポケモンでありながら相手視点では全く対処が違うポケモンなため対応を後手に回らせることが出来たと感じる。

テラスタイプはミミッキュに対してワンチャンを作れるノーマルタイプ。元々のゴーストタイプと合わせた先制技耐性と、ヘビーボンバーを含む鋼技への耐性が偉い。

ここまでの3匹では相手のキノガッサが重いように見えるがこちらがディンルーを採用している関係で気合いの襷持ちキノガッサは初手に来るため、マッハパンチを受けたマスカーニャの深緑発動トリックフラワーで2発圏内に押し込んだ次のターンにマッハパンチ読みでハバタクカミに交代をすると残数を減らさずに処理が出来る。

拘りスカーフイーユイと並びを作った時に最強のハバタクカミは間違いなくこの型だった。

157(252)-63-174(252+)-125-128(4)-106@ゴツゴツメット

鋼テラスタル

ハイドロポンプ ボルトチェンジ 放電 イカサマ

HB

あまりにも低数値なため振り切り

 

イーユイを動かす関係で浮いているゴツゴツメットが欲しかったため採用した。ほんのりディンルーにも強い。

主にハッサムやイルカマンがいる構築に対してイーユイ+ハバタクカミと出すと無力であるため選出する。見た目上はパオジアンやカイリューにも強い。

技構成はヘイラッシャ等に対して交代せずに居座れる技として放電、鋼テラスタルと合わせた対ドラゴン耐性を評価してイカサマとした。補助技を採用しなかったのは命中不安が気になったことに加え、この構築では相手に状態異常を入れた後に繋ぐ駒が少なく、ボルトチェンジからイーユイを出した方が強いと判断したためである。

低数値故に1ターンのミスが即負けに繋がりやすく、特に火力のあるハバタクカミを合わせられると一気に負けかねないので、イカサマの枠はテラバーストでも良いのかもしれない。

これは完全に後付けなのだがマスカーニャ+ロトムと並んでいることで相手視点はマスカーニャが拘りスカーフに見えるのか、パオジアン等が氷の礫で処理を急いできたり、そもそも初手のパオジアン率が低かったりで意図していないところでの活躍はあったのかもしれない。同系統の構築を一緒に使っていたおろしぽんずさんと擦り合わせを行っていた際に、ロトムを採用していないあちらの構築は明らかにパオジアンの怯みに苦しめられていたようであった。

257(212)-130-151(44)-x-100-106(252)+@食べ残し

砂地獄 カタストロフィ 挑発 身代わり

毒テラスタル

S

最速

受けループの全てのポケモンを抜く

遅いチオンジェンもハメる

HB

16n+1かつA120ヘイラッシャのウェーブタックルを身代わりが約94%で耐える

 

最強のサイクル破壊兵器。上記の4匹で対面構築ミラーで必要な要素は満たしていると考えていたため、絶対に崩せない低速サイクルへの勝率を安定させるために採用した。

受けループのような構築に対しても初手に出してテラスタルをしてしまえば毒が効かずに次のサイクルから毒びしも回収出来る。低火力ポケモンがディンルーの身代わりを割ることは困難であり、チオンジェンやモロバレルギガドレインに対しても毒テラスタルで対応することが出来た。カタストロフィに対しても身代わり連打で自分のHPを下げてしまえば問題がない。

元々の耐久が高過ぎる上に与えるダメージは定数ダメージがメインなため努力値が余り、試験的にめろーるさんから話を聞いていた最速で採用してみることで遅いチオンジェンやアーマーガアの上から挑発を撃てかなり快適に崩しを行えた。速い身代わりはドドゲザンのハザミギロチンにも屈しない。

今の環境は「パーティーにディンルーがいる」ということも重要な要素であり、ディンルーに負けないための選出を強要することで軸のマスカーニャが更に活きていたように感じる。

このポケモンのおかげで受けループには1度も負けず、記憶が正しければキョジオーン入りにも負けなかった。1発目の砂地獄の命中が気になるところではあるが「そもそも外しても相手が出来ることは何もない」ということも多く想定していたよりも気にならなかった上に、低速サイクル構築相手には85%の一撃必殺技のような感覚で使うことが出来た。

191(196)-202(236+)-115-x-120-110(76)@厚底ブーツ

ノーマルテラスタル

神速 地震 アンコール 羽休め

S

耐久カイリューミラーで上を取れるくらい

電磁波持ちサーフゴー意識

その他余り

 

ディンルー程の崩しが必要ではなく、相手にカイリューがいる時に崩し兼クッションになれる枠として採用した。ヘイラッシャ+ジバコイルのような相手に対してロトムを選出すると、ロトムジバコイルと対面した時に苦しくなってしまうため地割れが無効なポケモンが望ましく、対面的なキョジオーン入りに対しても誤魔化しながら選出の汎用性を損なわない。

低速サイクルに対してはディンルーと合わせて無類の強さを誇り、毒ディンルーの耐性とカイリューの地割れ無効でワンチャンすら許さなかった。この構築は鋼と毒タイプが不在で受けポケモン+拘り眼鏡ハバタクカミや毒びし展開が重くなりやすいのだが、ディンルーを毒にすることでこの問題をクリアできた。

ディンルーと同じで「カイリューを採用することに意味がある」と思っているため、綺麗な補完として入ってきたこの2匹にとても強さを感じる。

 

・選出

対面構築ミラー

マスカーニャ+イーユイ+ハバタクカミorロトム

イーユイやロトムを初手に出すこともあるし、カイリューを出すこともある。

サイクル構築

イーユイ+カイリュー+1

崩しにディンルーが必要か見極める。大体の構築はイーユイの火力で沈んでいく。

受けループ

ディンルー+カイリュー+1

ディンルーの初手毒テラスを徹底すれば負けない。

チオンジェン入りも似たような動きで勝てるがこちらは裏次第。ガブリアスやテツノドクガがいる構築にはディンルーは出さずに殴って崩す。

 

・雑感

S5では最終日付近の地割れディンルーの増加により思ったように勝てずかなり苦しい思いをしたため、今回は地割れの隙を生まないほどの高火力で殴って崩せるように意識して組むことが出来た。

最終週まで鋼テラスタルディンルーのヘビーボンバーや、襷パオジアンのカタストロフィ+草テラバースト等を試していたがどうも命中を含めて納得出来ず、命中が安定で高速アタッカーのイーユイに目を付けた。後者のパオジアンは上位で結果を残していたようで「感覚的に強そうなポケモン」は毎シーズン見つけることは出来ているため、あと一歩頑張りたいなといった気持ち。

結果を残せなかった次の月は平日を言い訳に2桁保存で逃げがちなのでそろそろメンタルも成長させたいところではある。