PJCS本戦2024本戦使用 ヤシパオラオス

PJCS2024本戦にて以下の構築を使用した。「あと1勝」ラインまでには何度か辿り着けたが、序盤に下振れて0-3スタートをしてしまった影響で試合数が足りず本当に悔しい。しかし構築の完成度としてはかなり納得しているため記録として残すことにした。

・構築経緯

前回記事で紹介した第2回予選での使用構築にも自信があったが、環境的にHC化身ランドロスが刺さる構築が減っていたため代わるポケモンを探していた。そんな時にヤシの木(https://x.com/xx_z2z)がランクマッチで使用していた構築に目を惹かれた。パオジアンは同じ命の珠枠でありながら先制技持ちであるため相手の行動に振り回されにくく、加えて特性によって味方の火力を実質的に上げられるため「前回記事で紹介した構築の攻撃的アイテムが自由枠になる」ということに気が付いた。細かい立ち回りなどは本人に聞くことで一気に吸収し、自分の好みに合わせた形に組み替えた。

参考:前回記事の構築

・個別解説

採用順に解説し、努力値調整意図については優先度が高い順に記載する。

158(20)-189(252+)-105(36)-x-86(4)-180(196)@命の珠
氷柱落とし 不意打ち 氷の礫 守る
ゴーストテラスタル
S
最速トルネロス抜き
HB
命の珠の反動+A200ウーラオスの水流連打を約97%で耐え
A
先制技で縛れる範囲を最大限広げる振り切り

 

端的に言い表すなら「相手にゲームをさせないポケモン」。高火力の先制技持ちであることに加え低速相手には氷柱落としの火力と怯みによる理不尽の押し付けが非常に強力であり、相手に行動そのものをさせない性能が非常に高い。特に不意打ちの火力はA200ウーラオスの暗黒強打と同程度なため、横にいるポケモンの先制技と合わせれば行動が出来るポケモンの方が少ない。
採用当初は耐久が低く行動保証のないパオジアンに命の珠を持たせることは懐疑的であったが、先制技によって相手より先に数的有利を作ることで実質的に行動保証が得られていることに気が付いてからはこのアイテム以外を持たせる気が起きない程に感じた。体感ではあるが、気合いの襷や耐久振りクリアチャームを持たせた場合よりも生存率が高い。

基本的に低速サイクルやトリックルーム相手以外には先制技だけで完結しているため参考にしたASぶっぱでは無駄があるように感じ、素早さラインを下げてHBラインを連撃ウーラオスに合わせた。これによってB4振りでは約62%でしか耐えることが出来なかった命の珠の反動+A200水流連打への生存率を大幅に上げている。特にエルフーンorトルネロス+ウーラオスのような追い風構築であったり、拘りスカーフ連撃ウーラオスが採用されたスタンダードな構築に対してこの調整のおかげで選択肢を増やすことが出来た。
当初は連撃ウーラオスのみを対象とした耐久振りであったが、グラスフィールド下でA216拘り鉢巻き霊獣ランドロス地震を2耐えする等、想定外の副産物を多く生み出すことにも繋がった。

余談ではあるがパオジアンの特性は「自身への災いの剣を無効化」するものであり、相手の場にパオジアンがいる場合でもそれ自体を打ち消すわけではなく、味方の防御力は下がっていることに注意が必要。

175-100(252+)-121(4)-x-80-149(252)@気合の襷
水流連打 インファイト アクアジェット 見切り
ゴーストテラスタル
AS
性能を最大まで高める振り切り
氷柱落とし+水流連打で大体の古代活性で素早さが上がるウガツホムラを倒せる
災いの剣+水流連打で大体の回復アイテム持ちガオガエンを倒せる
HB
キラフロル+合体ヘイラッシャ構築に対してキラースピンを受ける前提のプランを取るため、HPが8nにならないよう端数はB振り

前回記事の構築では水タイプ強化アイテムを持たせることで火力を確保していたが、パオジアンの特性によりアイテム補正がなくとも必要な火力を手に入れたので行動保証がある気合いの襷で採用。パーティー単位で重いガオガエン猫騙しに耐性のあるゴーストテラスタルは試していたことがあったが、その時はガオガエンを倒し切るためにタイプ強化アイテムを持たせており、耐性変化後の弱さを許容出来ず上手くまとめられなかった。しかしパオジアンと並べることで火力を確保出来ること、元々のタイプが水であるため気合いの襷持ちの天敵である水流連打に自然と耐性を持てる等、参考元の並びとしての完成度に感動を覚えた。

特性の不可視の拳はパオジアンの不意打ちとの相性も良く、様子見の守るを許さないため試合展開のイメージがしやすい。自身のダブルバトル歴が浅いこともあり初手の守るや猫騙しが正解のない噛み合いじゃんけんにしか思えない展開が多く、この噛み合いを拒絶出来る不可視の拳+ゴーストテラスタルは最高の存在だった。ウーラオス抜きでダブルバトルを行える気がしない。

155-172(252)-105(4)-x-116-178(252+)@竈の面
棍棒 グラススライダー 地団太 ニードルガード
炎テラスタル
AS
性能を最大まで高める振り切り
ミラーでの素早さ関係を探ることが不毛なので抜いている前提
B
連撃ウーラオスからの水流連打がズレるライン
余談だが実数値が90~130付近でズレるラインを覚えておくと少し調整が楽になる

前回記事で信頼していたオーガポン+ゴリランダーの並びがそのまま参考元の構築と同じだったため続投した。前回記事では地団太ではなく剣の舞を採用することでガオガエン入りのサイクルに対して咎める動きを行っていたが、この構築ではウーラオスガオガエンへの削りやテラスタル強要を担っているためタケルライコやヒードランに対して強い地団太で採用。展開次第でウーラオスガオガエンを処理出来なかったとしても抜群地団太のダメージはバカに出来ないためなんとかなることが多い。

パオジアンやウーラオスに続き先制技連打で相手の行動そのものを許さない点も強力だが、オーガポンはテラスタルを使用することで崩しを行える点も評価が高い。特にイエッサンや多くのリキキリンは耐性テラスタルを使わないと蔦棍棒を耐えられず、テラスタル後は炎タイプになるためトリックルーム構築で採用されやすいコータスにも自然と強くなれる。対面的な構築は追い風やトリックルーム等の素早さ操作が苦手になりやすいが、追い風にはパオジアンの氷の礫が刺さり、トリックルームにはオーガポンのテラスタルが刺さるため並びとしての性能を落とさず非常に美しい。
特性の型破りはリキキリンのテイルアーマーを無視してグラススライダーを撃ち込める貴重な存在。

199(188)-194(252+)-111(4)-x-91(4)-113(60)@突撃チョッキ
ウッドハンマー グラススライダー 十万馬力 猫騙
炎テラスタル
A
性能を最大まで高める振り切り
硬いハバタクカミが増えていたのでウッドハンマーで倒し切りたい
HB
A136ガオガエンフレアドライブ耐え
A200拘り鉢巻きウーラオスの水流連打2耐え

S

ミラーで猫騙しを上から通したい関係で余裕を持って抜けるラインであり、S-1の100族の上を取れるくらい。このラインは多いと考えたので+2。

稀に抜かれることがあったので更にラインを上げることも検討したが削れる数値がなかった

先述の通り前回記事の個体をそのまま使用し、持ち物だけタイプ強化アイテムから突撃チョッキに変更した。参考元では素早さに振らず水テラスタルであったが、炎技への耐性をつける際に火傷への耐性もつけたかったこと、フェアリー技への耐性を意識してこの構築では炎テラスタルで採用した。素早さラインを高めに設定した理由としては、初手でお互いのポケモンが1匹倒れ3:3状態からゴリランダーを繰り出すことが安定となる展開が多かったため、そこで行動を躊躇わないことを意識した。どちらも好みの問題であるとは思う。

パオジアンを採用したことによって構築全体の火力ラインが上がり、突撃チョッキを持たせたことで対面構築でありながらサイクル性能が向上した。具体的には初手のパオジアンが交代する選択肢を取りやすいため「パオジアンが場にいる」状態を強く使うことが出来る。汎用的に強いポケモンである上に草技の打点が優秀なため連撃ウーラオスやヘイラッシャに強いのは勿論、モロバレルのようなポケモンに対しても氷柱落としや蔦棍棒ウッドハンマーを集中することでテラスタル択も回避しやすい。猫騙しとウーラオスを合わせることで相手に何も行動させないターンを押し付けられることも忘れてはいけない。

160(236)-x-117(252+)-155-155-158(20)@ブーストエナジー
ムーンフォース 凍える風 電磁波 挑発
草テラスタル
S
最速ウガツホムラ+ブーストエナジー抜き
ミラーは凍える風を撃たれても電磁波で素早さ関係を逆転出来るため振る必要がないと判断
HB
全てを耐えるためのほぼ特化
A178までのゴリランダーのウッドハンマーを確定で耐える
≒A165程度のウッドハンマー+半減グラススライダーを回復込み乱数で耐える
副産物ではあるがグラスフィールドの回復効率が良い16n
A194グラススライダー+C207迅雷をエナジーまで耐え

前回記事の個体をそのまま使用。参考元では拘り眼鏡を持ったハバタクカミを採用していたが、同じ役割範囲を持ちながら更に強いことが出来ると本人に提言し変更。ヤシの木本人が命の珠パオジオンで結果を残しそれが公開情報である以上、自分が使う時だけ命の珠不意打ちを無視してマジカルシャインを押すのは違うと思った節もある。そのくらい参考元構築が有名であった。

ウーラオスを気合の襷で採用しているため凍える風と合わせても相手のパオジアンやオーガポンを水流連打で押し込めないことが不安であったが、選出する相手を合体ヘイラッシャやウガツホムラ入りのスタンに絞ることで解決とした。特に合体ヘイラッシャとウガツホムラは電磁波による素早さダウンが致命的である上に、相手が選出をズラしてきた場合でも電磁波持ちのハバタクカミであれば柔軟に立ち回ることが出来る。特にウガツホムラ入りのスタンダードはパオジアンを誤魔化すために初手にウガツホムラを出すことが多く、そこにハバタクカミ+ウーラオスを合わせることで実質的に相手の攻撃選択肢を「ハバタクカミへのヒートスタンプ」のみとすることが出来た。

このような選出をするとおまけで出てくるようなモロバレルが鬱陶しくなりやすいので挑発も続投。このハバタクカミの本質は相手の置物をとことん無視出来ることであり、挑発の入ったモロバレルやあえて削ったウガツホムラ等を放置することで、麻痺の期待値等を含めて大きく有利な試合展開の組み立てを行えた。

215(116)-x-129(140)-207(252+)-109-95@雷プレート
十万ボルト 竜の波動 迅雷 守る
電気テラスタル
C
コータスへの古代活性十万ボルト、ウネルミナモへのテラスタル迅雷のダメージを意識して振り切り
HB
A189パオジアンの氷柱落としを等倍状態で約93%で2耐え
出来るだけHPを高くして特殊耐久を維持しながら余った努力値を振り分け

参考元のタケルライコの役割範囲を維持しながら努力値配分を見直した。タケルライコが特殊方面から崩されることは少ないため物理耐久を意識して努力値を再分配。氷柱落としの怯みを考えるとパオジアンに対して安定するとは全く言えないが、HP振り切りと比べて純粋に物理耐久は上がっているのでオーガポンのテラスタルを等倍で耐える等、副産物的な強さを実感出来た。

先述したウーラオスは基本選出に大きく絡んでくるものの、コータス入りの晴れパーティー等には水流連打を強く使うことが出来ないため選出の足を引っ張りやすい。しかしタケルライコであれば相手の晴れにタダ乗りして火力を上げながら炎技やハイドロスチームに耐性があるドラゴンタイプを持っている。特に処理が難しい初手の耐久振りコータスに対しても、タイプ強化アイテム+古代活性発動時のテラスタル十万ボルトで処理することが出来るためかなり立ち回りが楽になる。その上で流星群と違い火力が下がらずむしろ古代活性の強みを維持出来るタイプ強化アイテムは非常に強力であった。


・選出
ほとんどの相手にパオジアン+ウーラオス+オーガポン+ゴリランダー。
相手の初手を見てから処理の優先順位を見極め先制技集中をするべきなのかを判断する。ウーラオスが相手の守るを拒絶出来ること、パオジアンの特性による数値の底上げによって対応範囲が非常に広い。
ウガツホムラ入りのスタンダードや合体ヘイラッシャ等の素早さが高い高耐久に対してはハバタクカミを選出して後続が上から縛れる展開を作る。特にヘイラッシャ入りに対しては電磁波を外す以外で負けない程に安定感があり、相手が選出をズラしてきた場合でもハバタクカミの対応範囲が解決してくれる。


・雑感
書きたいことは沢山あった記憶があるけどパーティー解説だけ準備して下書きにある期間が長すぎて大体忘れました。

公式大会という短距離走で限られた時間を友達と共有し、ともに高みを目指す感覚を学生の部活動以来に体感出来たかもしれません。来年も頑張ります。僕に関わってくれた全ての友達に感謝!