S7 テツノツツミとの記録

レギュレーションC最終シーズンS7の結果としては最終日の100~500位台をウロウロ、たまに下振れて溶けてを繰り返す失敗だった。全体を通して下振れていたとは思うが、ハイドロポンプを採用して何を言っているんだということも含めて是非最後まで読んでほしい。

この記事では自分の反省も含めて採用理由から順に説明していく。

 

テツノツツミの考察を始めた理由は主に2つ。1つ目は環境最強のパオジアンに上を取れ、タイプや補助技を含めて先制技に耐性があること。2つ目は素早さ上昇のブーストエナジーにより立ち回りの選択がしやすいこと。簡単に言えば不意のスカーフに怯えない。

これらを採用理由とし、テツノツツミに足りていない能力の穴埋めを考えた。

パオジアンより速いということに関してだが、上を取っていても1発で倒すには火力アップのアイテムがいることに加え、パオジアンは襷の採用率が高く突撃チョッキ個体も無視出来ない。つまり何かしらの削りが必須であると考えた。

これに対する回答は2つ。1つ目はクイックターンで裏に交代して次の対面時にハイドロポンプで縛る(襷パオジアンへの安定処理)。2つ目はテツノツツミを2枚目以降に出すことで、初手でパオジアンを削ったりステルスロック展開などを絡ませる。このそれぞれに対してのアプローチを考えたので1つずつ紹介していく。

 

まずは1つ目のアプローチ、クイックターンからの展開である。テツノツツミを初手に出したいので気合の襷+クイックターンはほぼ確定。初手にパオジアンを誘うためにロトムを採用しないとかキノガッサはいた方が良いとかはあるが今回その辺りは省略。

テツノツツミが初手のパオジアンに撃たれる技としては噛み砕くや不意打ち、聖なる剣やテラバースト草や電気が主である。これらに耐性を持ちながらパオジアンに切り返せるポケモンは非常に少なく、テツノツツミが不意打ちで削られてしまうことを考えると素早さ上昇の積み技や先制技を持っていることが望ましかった。ここで考えたのがフェアリーテラスのカイリューハッサムだ。しかし前者は2ターン目にテラスを強いられ、怯みや火力不足などを考慮するとパオジアンの裏にいるカイリューやサーフゴーを倒せないと断念。現実的な候補としてはハッサムが残った。

ハッサムは耐久振り+オボンの実でパオジアンの等倍珠テラバーストを2回耐える上に、削れたパオジアンをタイプ一致抜群技で貫通出来るため噛み合いが良かった。ハッサムに投げられるサーフゴーを起点に崩しを行えるように拘りスカーフ持ちのゴーストテラスイーユイを採用してパオジアン+カイリューサーフゴーに対する基本選出とした。

パオジアンは水ロトムと組んでいることが多く、拘りスカーフ持ちのボルトチェンジも流行の兆しを見せていたため初手要員のテツノツツミをテラバースト持ちの地面テラスにした。こうすることで初手のツツミロトム対面は圧倒的に有利になり、3vs2から始められることも珍しくなかった。

 

テツノツツミ@気合の襷 CS じめん

ハイドロポンプ フリーズドライ テラバースト地面 身代わり

ハッサム@オボンの実 HBベース ほのお

バレットパンチ とんぼ返り 泥棒 インファイト

イーユイ@拘りスカーフ CS ゴースト

オーバーヒート 噴煙 悪の波動 煉獄 

 

ここまでは命中安定で固められてかなり順調に思われたが実際に対戦をしてみると想像とかなり乖離があった。瞬間火力が低いポケモン達で固めているため、特にテツノツツミがハイドロポンプを撃たされる展開が非常に多い。火力のある並びであれば安定打点のフリーズドライで裏に繋ぐことも出来るが、相手が1匹切った後のノーマルテラスカイリューの起点にならないようにするためでさえハイドロポンプを連打しなければいけない。初手のテツノツツミからパオジアンに対して引く動きは、要素を満たす高数値ポケモンがいないため安定しないという判断で没にした。

 

2つ目のアプローチは2枚目以降でテツノツツミを展開すること。初手に出すとまず引く動きから始めないといけないため対面的な動きの方が安定すると考えた。

まず初手要員としてマスカーニャを選択。S6でイーユイハバカミと並べたラインにテツノツツミを加えることで対応範囲が増すと考えた。マスカーニャは初手のパオジアンに削り+αの働きをしてほしいため特性の深緑でローキックを採用。これによって相手視点では2ターン目にマスカーニャの不意打ちで縛られている上に、裏にいるかもしれないテツノツツミのアンコールに怯えて交代を誘発しやすい。現に全てのパオジアンが交代をしてきたのでマスカーニャでトリックフラワーや叩き落とすを撃っていた。仮に先制技を押されてもテツノツツミで再度交代択を作れるので割り切った。余談ではあるがローキック持ちのゴーストマスカーニャは叩き落とす+ローキック+ローキックでノーマルカイリューを特性が深緑でも処理が出来る。カイリューが飛行であれば叩き落とす+フリーズドライで倒せるためカイリューへの処理ルートもしっかりある。

マスカーニャが大きく削りを入れてからテツノツツミを展開すればフリーズドライでも倒せる相手が多いこと、裏から出てくる本来は撃ち負けてしまうハバタクカミにも抗える鋼のテラバーストを採用することで命中や火力の面は解決出来たように思われた。並びとして最後の自由枠も選択肢が大きく、この点も評価が高い。

 

マスカーニャ@気合の襷 意地っ張りAS ゴースト

トリックフラワー 叩き落とす ローキック 不意打ち

テツノツツミ@ブーストエナジー 臆病CS はがね

ハイドロポンプ フリーズドライ テラバースト 身代わり

 

上記の構成にすることで終盤に増えていたキョジオーンやチオンジェン絡みにも強く非常に強力であるように思えた。が、ここでもやはりカイリューとサーフゴーの壁が立ちはだかった。裏から出てくるこれらを倒すには最低でもハイドロポンプを1度は当てないといけない。勿論裏との並びでハイドロポンプを2回以上撃つことがないように組んではいた。しかし、なぜかレートは上がらなかった。

 

ここでようやく気が付いた。ランクマッチは勝った時と負けた時で貰えるレートが同じわけではない。勝って5くらいしか貰えないこともあれば30失うこともある。そう、ハイドロポンプは平等ではないのだ。ハイドロポンプには重みがある。

もし仮に負けたらレートを30失う試合でたった1回のハイドロポンプを外しまったら、貰えるレートが15の試合でさえハイドロポンプを2回当てて2勝しないといけない。テツノツツミを基本選出に組み込んだのだから。

 

一連の流れに気が付いたのはほぼ最終日になってからだった。自分としてはランクマッチではなく大会のような、1戦の重みが同じ前提で考えていたことが最大の失敗だったと考える。明らかに構築作成段階でランクマッチへの理解が足りていなかった。

素直にパオジアンを使っていればという後悔が無いと言えば嘘になるが、間違った思考を続けた期間が一か月で良かったとも思う。心のどこかでパオジアンの絶対零度の強さを認めながらも納得は出来ないという気持ちがあったのかもしれない。